よくあるご質問

グループホームに暮らしている知的障害者。療育手帳Aで22歳の方です。携帯電話を持ちたいというご意向で携帯電話を持ったのですが、朝早くからお友達にかけたり、同じ方に何十回もかけたりしてしまうという、使い方が上手にできない方です。ご本人さんに携帯電話を持ちたいという意向があるので、この方がどうすればマナーやルールを理解して上手に使えるようになるのかというところのポイントを教えてください。

療育手帳の等級に関わらず、若い人たちであれば多くの方が携帯電話を利用されているので、自分も携帯を持ちたいと思うのは当然で、とても気持ちは分かります。この方の場合、携帯を持って何をしているのかというと、お友達と話をしたいという「人と話をしたい」ということがメインのように思われます。同じように携帯を持ちたいと考える人たちも、その持ちたい理由にはいろいろあると思います。この方、例えば仮にAさんとしましょう。このAさんについていうと、携帯を持って一番何をしたいのかということをご本人とまず確認をしていきましょう。携帯電話なので、文字通り考えれば電話をするためのものなので、話をしたいんだということになるかも分かりません。したいことが、それがメインということであれば、そこを充足させてあげれば良いと思います。というのは、携帯電話持ちたい人の多くは、これは療育手帳でいうとBぐらいの人たちが多いようですが、ゲームや、あるいはネットでいろいろな買い物したいとか、そういう思いが強いようです。特にゲームでは「課金」してゲームを有利に進めていくためにいろいろな武器や道具等を買って、それでゲームを前に進めたいとなり、気が付いたら随分お金がかかってしまったということがあるんです。そこで、この人の場合もそういうことはないのかがちょっと気になったので、まず本人と、携帯電話をあなたは何をメインに利用しようと考えているのかを確認してみるというのが第一のポイントと考えたわけです。

その上で、使い方とかマナーというのは、説明して本人がその意味を理解して自分の気持ちをコントロールすることができるようになるかというととても難しいと思います。そこで、今、グループホームで生活しているという人であれば(あるいは家族と一緒に生活している人の場合でも良いのですが…)、携帯電話を自分が扱える時間帯をあらかじめルールとして決めるのです。例えば朝は8時からとか9時からとか、夜は9時までとかですね。そのように時間を決めていくと、少なくとも早朝とか深夜に電話をすることがなくなります。時間の設定はご本人と話し合って設定してください。また時間外はホームやご家族等がその間携帯電話を預かっておくことが重要です。

それから、かける回数とか通話時間についてのコントロールもなかなか難しいですが、まず、電話の相手はある程度決まっているのではないでしょうか?相手が特定されているのであれば、1日当たりの回数について、その相手と話をして、話を聞いてほしい、話をしたいんだけど、何回ぐらいだったら大丈夫なのか、時間帯は何時頃であれば良いのか等について支援者も一緒に付き合って、お相手の方たち一人一人に話をして、それぞれの相手のご都合や、相手の思いを聞いてみましょう。

その内容を相手別に一覧表にして整理することで、それぞれのお相手のご都合に応じた形(回数や時間帯等)での会話ができるのではないでしょうか。一覧表ではそれぞれのお相手のご都合の良い時間帯は緑で表示して、困る時間帯は赤で表示すると目で見てよくわかると思います。回数については、お相手の方の写真でもイラストでも良いのですがわかるようにした上で、相手の方が了解された回数だけそこにシールを貼って、1回かけたらそれを剥がすなり、あるいは×をするなりして、今日は何回かけたのか、何回で終わりなのか、そういうことが分かるような表示の仕方をしてあげると、結果的にコントロールできるのではないでしょうか。

要は物理的にコントロールすることです。先ずはお相手ごとに時間帯や回数を決めて物理的にコントロールできるようにします。ご本人が主体的にコントロールするという意味では、前述したような一覧表を分かりやすく作って貼り出しておくと本人が確認出来るので分かりやすいと思います。なぜ自由に電話してはいけないのか、なぜ制約をするのかというのは、相手が電話出られないからだ、相手に迷惑が掛かるからだということを一人一人、支援者が一緒に付き合って話したい相手とまず話し合いをして、ルールを決めていく、そういうことをプロセスとして行う中で、ご本人も自分が電話をかけられる立場になれば、自分が電話してる間は、誰かから電話かかってきても出られないし、あるいは自分が何かしてるときに電話がかかってきても出ることができずに困るということについて少しずつ理解されていくのではないでしょうか?一般的なルールや社会的規範を基にご本人に強いても難しいし困ると思います。一方的に禁止するとか制限するのではなく、一つ一つプロセスを経ながら本人ともお相手とも「合意形成」を図っていくことが必要だと思います。

在宅で一人暮らしの精神障害の方ですが、収入と支出のバランスが悪く困っています。収入に見合った生活をその方にイメージしてもらうにはどのようにアプローチすれば良いでしょうか?

自分の収入に見合った収支バランスを考えた生活をするというのは、別に障害のある方だけでなく私を含めて多くの方も難しくて困っておられるのではないでしょうか。自分の考え・思い・気持ちが折々に変わっていきますから、その時に思いとどまってバランスを取るというのはとても難しいですね。

ではなぜ難しいのでしょう。1つは見えないからですね。バランスが「見える」ということが必要なわけですね。

例えば、皆さんもお風呂に入るときに体重計に乗ったりすると、「太った!」とか、「痩せた!」とかで一喜一憂しますね。それはなぜかというと、見えるからです。太った・痩せたということは、何となく感じとしては分かっても、それが数字になって見せられることでようやくリアリティーを感じることができます。障害のある人にとって「バランス」を図るためには、その意味や内容を「見える化」することがとても重要です。そのためには、まず、その人の月間の収支表をご本人と一緒に作りましょう。支援者が作って、それを基に一定の制約を守ってもらうという方法では難しいですね。そうではなくて、ご本人と一緒に作っていくところから始めていく。一緒に作っていく中で、食費はどれぐらいにしようか、家賃はいくらだとか、一つ一つ家計簿を作るように費目を出して「見える化」します。そうすると、今月の収支表が出来上がります。それをご本人と確認して、この通りに使えば生活に支障はないという基準が合意形成されます。その基準を基に、月々の状況への対応やご本人の希望等と調整を図ることが次に出てくるわけです。基本となる基準をご本人の「こうしたい」というような話をしながら一緒に作っていったので、ある程度折り合いがつく、つまり先程の意思決定支援の話だと合意形成をしながら作っていくことになっていくので、そういうプロセスが必要ということです。

このようにすると、バランスを図る尺度となる基準がはっきり見えていくので、あとは金銭管理の方法なんです。金銭管理の方法をどのようにするかですが、例えば自己管理をしている人であれば、その費目別に色違いの封筒とか、あるいは費目を書いた封筒を作って、その封筒に決められた金額のお金を入れておきます。使ったらなくなりますね。そうすると、どれだけ使ったか、あとどれだけあるかというのがリアルタイムに分かります。そうすると、「管理」をするということが実感として分かります。ここでは誰かに管理されるというのではなく、自分で制御(コントロール)していることになります。金銭管理も「見える化」することで本人がコントロールしやすい環境や条件を創っていくことが必要ですね。

3つ目が評価です。少なくとも3カ月から半年間は毎月、今月どうだったのかということをご本人と支援者が一緒に評価してみましょう。最初に作った収支表に比べて今月はこの部分が使い過ぎた、その結果、ここが厳しくなったとかという感じで、一つ一つ確認します。全体的に使い過ぎていなければ良いのです。収支の凸凹(デコボコ)が出てきてそれが何カ月も続くようであれば、最初に作った収支表がおかしいのかも知れません。実態に合ってないということであれば、実態に合う収支表に作り変えれば良いわけです。そうやって少しずつ自分に合った、実態に合った収支表に変えていくことができる。そうすると、デコボコも少なくなっていくので、あまり本人とって無理がない生活になっていくと思います。基本的には、このような形で安定した家計管理をしていくことが求められると思います。

ただし、こういう対応をしても、衝動を抑えることはできません。それは折々に、誰かに教えてもらう場合や、あるいは自分がチラシやCMなどを見て、あれが欲しい、これが欲しいと急に思って、予定外に支出、あるいは衝動的な支出というものが発生する場合があります。それを止めることはなかなか難しい。衝動が出てきた場合は、止めるのではなくその段階で支援者にコールをしてもらう。

つまり支援者を呼んで、これを買ったんだけど、さあどうしようかと。そのあとの家計の修正をしなければいけませんからね。それを一緒に考えて、じゃあ、今月は予定外でこれだけ使っちゃったから、あとの部分はこれだけ抑えなきゃしょうがないよねということを本人と一緒に話しながら後半の収支表を、その月だけの後半の収支表を作っていきます。そういうプロセスが必要になってくると思います。

グループホーム入所の知的障害者の方(療育手帳A)ですが、就労継続A型事業所に現在通っています。この方、生活のちょっとした出来事があると、お仕事に影響してくるんです。本人さんに聞くと上手に支援者に伝えられないため、支援者もなかなか本人の気持ちをくみ取ることができないんですよね。この方の本人の気持ちをくみ取るには?

まず、療養手帳A判定の方が「就A」を利用しているということに驚いています。えらく頑張る人なんですね。作業能力も随分高いんだと思いますが、それだけに、ストレスも応分にあるんじゃないでしょうか。そういう意味で、今の職場、今の仕事の内容が、本当に本人の状態に合ってるかどうか、そこを本人と支援者で評価をしてください。本人が頑張る人であればあるほど、本人も知らないうちに随分ストレスや負担が掛かっていて、いろいろなところに影響をしていることがあります。まずそこを心配してあげてください。それが前提ですが、ご質問の内容に対して対応していくためには、日々の出来事のやりとりが本人とだけではなく、支援者を交えてやりとりしていくことが必要になってくると思います。グループホームでどういうことがあったのか、職場でどんなエピソードがあったのか、ちょっと変わったエピソードがあった場合は、それを生活の場と仕事の場でやりとりをして情報交換していかないと、フォローができません。本人が折々に話をしてくれれば良いのですが、なかなか状態像的にも難しいと思われるので、本人にあまりそのことを期待しないほうが、より本人の負担が増えていくので、むしろ支援者の側で仕組みとして、そういうものを作っていけば良いと思います。

具体的には連絡ノートですね。職場と生活の場での連絡帳を作っていく。連絡帳の中でそれぞれが、グループホームだと世話人さんでしょうか、あるいは職場だとそれぞれの担当の方とでやりとりをする。もちろん本人にも聞きながらやりとりをしていくことで、少なくとも今よりも本人の状態・状況については、少しお互いに伝わっていくことができると思います。もし、すでに連絡ノートを使用しているのであれば、それが機能しているか内容を評価しみてください。どうしても毎日のことなのであまり書くことがなくなってきて「元気です」しか書かない、「特にない」として書かないようになっていませんか?そうした内容になっていれば改めて連絡ノートが本人の生活記録であり、支援者の「気づきノート」でもあることを確認して日々の様子を丁寧にみてあげてください。

それと「生活のちょっとした出来事」という表現が気になります。「ちょっとした出来事」という評価は、支援者の視点や価値観で捉えたことでしかなく、本人にとってはとても大きな、とてもショックな出来事だったかも分かりません。、つまり、本人の価値観、あるいは受け止め方と、支援者が考える価値観や受け止め方とがずれている場合があるので、それを折々に是正していく機会が必要です。そのためには2番目の仕組みとして、本人と世話人あるいはグループホームのサービス管理責任者でも良いのですが、そういう人たちと本人との話し合いが必要だと思います。月に1回程度は、今月の生活どうだったのか、自分で気になったこと、失敗したこと、嫌だったこと、そういったことを世話人や支援者の人と話し合う機会を作っていったらどうでしょうか。おやつなどを食べながら世間話風に話し合う機会が重要です。このような支援者とのミーティングを個別に行うことによって、お互いの気持ちのズレとか、認識の違いとかを相互に理解し合う機会になると思います。

それとともに、これは支援者の側に求めることですが、ホームの側と就労する側あるいはそのほかに計画相談だとか、ほかの支援者・支援機関が関わっていれば、毎月、支援会議を行って、本人の状況・状態についての情報共有をしていく、そういうことも本人をフォローしていく仕組みになると思います。概ねこういう3つのことを実践してもらえると、本人の気持ちの揺れに対して一定程度フォローしていける可能性が出てくるんじゃないでしょうか。

経験値が低い支援者と一緒に仕事をする上での配慮すべきことはどんなことがありますか。

経験値という言葉をどういう意味で使われてるのかよく分からないですけれども、私は経験値を「成功体験」と考えています。単なる経験ではなく、経験値ですから。経験値を成功体験だとすると、経験値が低いということは成功体験が少ない、失敗が多いという支援者だろうと思われます。この人たちと一緒に支援をする場合は、まずその支援者の方に自分の経験値が低い、つまり成功体験が少ないのではないかということを確認していくことが必要だと思います。往々にしてあるのは、自分はよくやっている、自分は頑張っていると、そんなふうに思っている人が多いように思います。そう思っていると、これ以上努力するのか、これ以上大変になるのかということで、今の支援の方法や内容を変えていく、工夫をしていく、改善をしていくというモチベーションが低くなります。自分の経験値が低い、あまり成功体験がない、失敗が多い、そういうことを率直に認められるかどうか、あるいは受け止められるかどうか、そこがまずこうした支援者にとっては必要なことだと思います。私はよくお話しするのですが、自己評価の高い支援者にあまり良い方はいないように感じています。真っ当な支援者、適切な支援者の自己評価は厳しいです。常に出来ていないところがあるんじゃないか、上手くいかないところがあるんじゃないか、それは自分のせいじゃないか、自分のこういうところがいけないんじゃないか、そういうところにちゃんと向き合って真摯に改善していく、そういう姿勢を持っているかどうかが大事だと思います。実は経験値という成功体験は、ある意味「結果」でしかないので、その結果はいくら努力しても得られない場合もあります。そのため、結果の問題ではなく、姿勢の問題だと考えてもらって、まずそういう自分に対して自己評価を適正に行う。悲観的に見ろと言ってるんじゃないです。ただ真摯に見つめようということなんです。謙虚に真摯に、自分の支援の姿勢を見つめられる人であれば、必ず支援はうまくいきます。足りないところを補おうとしますから。あるいは足りないところを理解しようとする姿勢があるのであれば大丈夫です。そのためには一緒に支援をする皆さんがその姿勢を見せていくことが大事だと思います。指導という名の「説教」をしてもダメですね。そんなことをすると、「何を偉そうに」とか思われて、むしろ反発を食らうかも知れません。そうすると、チームとして支援をしなきゃいけないのに反発し合ったり、不信感に陥ったりしてしまうので、それを避けながら支援の質を高めていくことが必要です。

そもそも「支援をする」とはどういうことなんですか?また経験値を得るために大切にすることとは何でしょうか。

また難しい質問を普通に言いますね。とても基本的なことなんで、難しいです。先程も言ったように、経験値というのは成功体験のことなんです。経験値という言葉はロールプレイングゲームを思い起こしてもらえると、分かると思います。ドラゴンクエストとか、ファイナルファンタジーとかシリーズになっている有名なロールプレイングゲームがありますよね。あのゲームをしたことがある人は分かると思いますが、モンスターが出て戦うのですが、失敗すると倒されてしまいます。失敗すると何ももらえません。成功して相手を倒すと、経験値がもらえるのです。つまり成功体験によってしか経験値は得られないということです。失敗を多くしても、実は経験値にはならない。また失敗を繰り返していくことになってしまうかも分かりません。経験値を得ていくためには相手を倒す、つまりモンスターを倒すことです。支援におけるモンスターとは何か。支援ニーズなんです。本人が困っていること、なぜ困っているのか、その困ってる状態と困っている理由、そのことを受け止めて、それを改善していく、その課題をクリアしていく、そのことがいわば成功につながっていくことになります。そのためには、私はよく「見立て」と「手立て」が大事だとお話しします。「見立て」とは何なのか。本人の支援をする(=支援ニーズを充足する)ということには2つの内容があります。「求められていること(=要求)」と「必要なこと(必要性)」です。支援は本人がこうしてほしいとか、あれをやりたいとか要求されることで行うことがあります。本人が求めているのですから、それに対して応えていく、これが支援の1つです。もう一つは、本人は言わないのですが、周りが見ていて気付くことも多いと思います。しかし、それは本人が求めているわけではありません。本人は理解してない、感じてないけれども、周りが本人の生活を改善していく上で必要なことに気付いて対応する。これも支援のニーズです。この2つが重なって支援が成立すると考えています。本人の言うことだけを聞いて、それを充足しているだけでは支援が偏ってしまいます。言い換えれば、本人の言いなりになっているだけで、本人にとって必要な支援を行っているとは言えないかもしれないのです。むしろ本人にとって良くない場合もあります。本人にとって有効な必要な支援を行う、本人の状況・状態を改善していという成功体験につながる支援を行うためには、要求だけではなく、本人を求めていないかもしれないけれども、何が必要なのかという必要性をむしろ本人にとって良くない場合もあります。感じ取ることができるか、これらを「見立て」と言います。この見立てができないと支援を行うことができません。

見立てが出来ると、支援対象の人の状態や状況が分かります。言い換えれば、見立てというのはアセスメントのことです。しっかりとアセスメントをしていくと、本人の困っている状況・状態の要因とか課題とかいうのが見えてく来ます。これは必ずしも本人が求めていることではないかもしれません。しかし、社会的支援者という立場でアセスメントした時、「必要性」が見えてくるわけです。本人にとっては嫌なことや苦手なことかもしれません。そのため、必要性基づいた支援は、先ずは本人との「合意形成」が必要となります。この「合意形成」がなかなか難しくて、これも支援ニーズの一つになるかも知れません。

さて、「見立て」ができると今度はどのように支援をするのかという具体的な支援方法や内容の検討が必要となります。これを支援の「手立て」と言います。この「見立て」と「手立て」があってようやく支援を展開していくことができます。これ以上詳しい話はもうほとんど1本の講義になってしまうので、また機会があればということにしましょう。

最後の質問です。精神障害を持っている方で、糖尿病での状態が悪く、インスリン注射が間近っていう状態なんです。ただ、毎年クリスマスにはケーキやチキンを食べるのを楽しみにしていて、お誕生日には回転寿司で食べたいって言ってるんですね。本人の気持ちと本人の身体の状況を考えると、支援者としてはどうすれば良いのか悩むんです。どうしたら良いでしょう?

いわゆる慢性疾患や生活習慣病で一定の食事制限をしなければいけない状態の方は多いですね。それを本人と折り合いをつけながら、どう対応すればよいのかということですね。

先ず、本人の状態像についての客観的な評価をご本人と一緒に確認しましょう。本人の通院時に同行して、主治医から本人の今の状態は本当はどういうレベルなのか、どこまでが良くて、どうなったら駄目なのか、そこの具体的な目安、おそらく検査を毎月したりするはずなので数値として一定の目安が出てきます。それを本人と一緒に、今の自分の状態がこういうレベルだ、こういう状態だ、こうなったら駄目になってしまう、こうならないためにはどうしようかっていう、その客観的な評価についての情報共有をご本人と一緒に行うことがスタートラインですね。この段階で本人がz部員の状態について一定の理解をしていくのと、治療としての取り組みを行っていくための一つの目安が具体的にわかります。まずこれを十分にやりましょう。

その上で、誕生日やイベントのときに何をどれだけ食べたいのかを一緒に確認しましょう。その方の状態にもよりますが、単発のことはあまり気にしなくても良いと思います。生活習慣病ですからこれまでの日々の積み重ねが問題なのです。ですから、毎日の食生活において、基本的な枠組みを設定して、その枠組みを守っているのであれば、1日1食ぐらい突出したことがあったとしても、よほどでなければ、それで直ちに大きな状態の変化につながるというのは末期の状態でない限りはないと思います。もちろん、主治医とは相談してくださいね。ただ、今のお話を聞くと、これ以上悪くなるとインスリン注射が必要な状態になるということですから十分に悪いと思います。おそらくお薬も飲まれてると思いますが、体質や糖尿病の内容によって少しずつ対応にも違いがあるので、その点もあらかじめ主治医にご本人と一緒に確認してください。いずれにしても普段の枠組みをきちんと分かりやすく設定をして、それを守ってもらうための工夫が必要ですね。

※ここで質問者から兄弟で生活されていること、弟も精神疾患があり支援を必要としている状態との追加情報あり

先ずは食事が問題なので食生活をコントロールする枠組みがやはり必要ですね。難しいようであれば、あらかじめ決まった献立の枠組みのツールを使う方法があります。ちょっと割高ですが糖尿病食のセットなどもあります。間食を含めて糖尿病対応の食材や調味料等の工夫も必要ですね。支援機関等に管理栄養士の方がいれば相談されると良いと思います。

ご本人はインスリン注射のことをどのように理解されているのでしょう。結構面倒で大変ですから、ご本人にそのことを十分に理解していただくことも重要です。そうなるとイヤだから我慢するという動機づけが必要ですね。それから別の楽しみを見つけることも重要です。食事を我慢しているとそのことばかり気になってしまうので気を紛らわすわけではありませんが、食事よりも楽しいことがあると良いと思います。

基本的には緩急、メリハリをつける感じで、一定の緩和をするしかないですね。それでも結局守れずにインスリン注射になったら、それはそれで、その段階でのことを考えてあげるしかしょうがないですね。どこまで行っても、結局そのリスクを受けるのは本人自身なんで、支援者が受けるわけではない、本人が結果を受け入れていくしかないのでね。だから、できればそういうことは避けたいと思うのであれば、避けられるための工夫は一緒に協力するということです。